『山におけるサングラスの選び方』

山と言う特殊な環境下に向けてサングラスの選び方を特集していきます。登山・スキー・トレイルランニング・パラグライダー・MTB etc…様々な山でのアクティビティがある中、自分自身の体験に加え、ご協力頂いている山岳ガイドやパラグライダー、トレイルランニングなど多くのアスリートの貴重な意見をもとに、サングラスの役割から山用サングラスの選び方についてご説明をしています。
内容は維持更新して追加していきますので、目次をご参照の上ご自身に必要な情報を参考に頂ければと思います。

文章:㈱モンテパズプロダクツ代表:松田
スポーツサングラス事業に長く関わって来た経験を活かし、サングラスのフレームからあらゆるスポーツ用レンズに関する知識と経験を集約してお伝えしていきます。これまで山用のサングラスを深く掘り下げ多面的に特集したモノはありませんでした。是非皆様のお役に立てればと強く願っています。

1:サングラスの使命

最初に山におけるサングラスが果たすべき役割についてご説明します。すべてを考えるベースとして最も大事な要因となります。この役割がはっきりする事で、何が必要なのかが見えてきます。

「サングラスの4大使命」

下記の4点がサングラスが果たすべき大きな役割となります。

①眩しさの軽減

眩しさの軽減という効果は誰もが一番分かりやすいサングラスの役割です。ギラギラと照り付ける日光を遮り、快適な視界をキープする役割です。ただ、山では日常生活と違いこの効果はさらに大切なモノとなります。②の紫外線などとも関連しますが、長時間隠れる陰や建物の無い場所で強烈な光線を眼に浴び続けることは、眼だけでなく脳や体全体への疲労とダメージを与えることになります。

②紫外線などの有害光線から目を保護する

「UVインデックス(紫外線の強さ)は標高が1000m高くなると約10%増加するとされています」
日本人はなかなかサングラスを日常に使用する習慣がありません。ただ山は特殊な環境です。一般的には、UVインデックスは標高が1000m高くなると約10%増加するとされています。しかも登山者にとっては一番うれしい状況である、快晴で空気が澄んだ時はさらに紫外線が強くなる傾向があり、ドイツでは1000m当たり50%以上も増加したとの観測結果があります<気象庁WEBサイト参考>
晴れた山で一日遊んだ後の、肌の日焼けなどを思い浮かべて下さい。あれほどの紫外線を眼にも受けていると考えれば、相当なダメージが蓄積する事になります。眼にはUVクリームなどを塗ることが出来ません。サングラスでガードするしかないのです。紫外線の害は、急性の紫外線角膜炎の他にも、歳を経た後に白内障や慢性の翼状片などと言った症状を引き起こします。

③枝・風・ほこり・砂・雪などから眼を保護する

サングラスには風やほこり・砂・雪・氷などから眼を保護するとても大切な役割があります。サングラス使用率の高い自転車などの世界では、既に広く認知された機能です。ハイスピードの運転中に風やほこり・砂によって視界が低下する事は即危険につながります。自転車ほどのスピード状況ではないとしても、山では強風・突風によって視界を遮られたりする事も多々あります。山頂近くの岩稜帯や鎖場で視界が落ちる事はとても危険な事です。街での生活以上に砂が舞い上がりやすい環境である自然の中では、サングラスの保護効果は大きなものとなります。雪山などでは、横からの強烈な風と共に吹き付ける雪や氷で目の角膜を痛めて視界を失ってしまうケースもあります。また樹林帯では枝葉の出っ張りから眼を保護することにもつながるのです。

④ファッション性

これもサングラスの大きな役割であると思います。眼を保護する機能が優先とは言え、顔に掛ける事を考えればメガネと同様に、サングラスも見る人に一番インパクトを与えるファッションアイテムになります。その効果は絶大です。多くのデザインやカラーのモノが発売されています。その中から自分に合うものを選び、カッコよくかけることも大きな楽しみとなります。

2:登山スタイル別の選び方(トレイルランニング、一般登山、雪山登山、高所登山)

スポーツサングラス選びの前提として、1本で全ての状況やあらゆるスポーツに対応出来るモノは無いと言う事ご理解ください。後で紹介する調光レンズを搭載したスポーツサングラスなどは幅広く使えますが、それでもすべてをカバーする事は出来ません。
スポーツの種類や使う場所が変われば、求められる機能も変わってきます。その事を理解し、自分が一番何に重きを置いて選ぶかが大切になります。もちろん、選んだサングラスをそれ以外の様々な違ったシーンで使う事も出来るでしょう。ただ、その時にベストな印象を受けなくても諦めなければいけないと言う事です。

実際に山用のサングラスを選ぶに当たり、下記2点が要因となり選ぶ基準が大きく変わります。

A:「登山スタイル」 ×  B:「季節」

「A 登山スタイル」の内容としては 一般登山 雪山登山 高所登山 トレイルランニング
「B 季節」の内容としては大きく2シーズン ①3シーズン(春・夏・秋) ②ウィンターシーズン(春の残雪期を含む)
このA,Bの内容の組み合わせによって重要となる機能が絞り込まれていきます。

~全てのシーンに共通した必須機能~

どの登山スタイルであれ、季節の状況であれ、共通して求められる必須機能があります。まずはその重要機能をご説明します。

1,有害な紫外線(眼には見えません)をカットしているレンズを使用している事

最近のサングラスはほとんどUVカット機能が付いているのでありがたいですが、必ずチェックしてください。
※可視光線(眼に見える)の中のブルーライトを軽減しているとより良い。ブルーライトの軽減しているレンズは全てではありません。店舗スタッフに聞いてみましょう。

2,風・砂・雪・ほこりと紫外線が入り込まない様に、大きなすき間が空かない構造になっている。

レンズがカーブして顔のすき間をなくすタイプやフレームが大きく囲むタイプ、革やラバーの風防が付いてすき間を減らすタイプなどがあります。※モデル例は添付写真をご覧ください。近年この機能を軽視して、ファッション性を優先する傾向があります。目をカバーしていないモノはファッションサングラスのカテゴリーです。強烈な光線を浴びる山岳エリアではしっかりとしたスポーツサングラスを選ぶ必要があります。

最近、普通のメガネに近いものを「スポーツ用です。」として販売しているお店があるので注意が必要です。

『目次1』で説明したサングラスの使命4つのうち下記2点をカバーする大切な機能となります。
・紫外線など有害な光線から眼を保護する
※雪山では眼の炎症を予防する(一般的に言われる雪目を防ぐ)
・枝・風・ほこり・砂・雪 などから眼を保護する

~スタイル別サングラス重要機能~

サングラス選びにあたり、登山スタイルを以下の4パターンに分類しました。

a.トレイルランニングやその要素が強い登山
b.一般登山(無雪エリア)
c.雪山登山(雪山~春の残雪エリア)
d.高所登山

各スタイル別に重要となるサングラスの機能を見ていきます。
(注意)自分の顔へのフィッティングは満たしたものとして話を進めます。当然掛心地はサングラスの重要な要素ですが、それは基本要因として特に機能の一つとしては取り上げていません。それ以外の山に関連した機能にフォーカスしています。

<a.トレイルランニングやその要素が強い登山(無雪エリア)>

『フレーム構造』

長時間の使用でも負担の少ない軽量素材であること。振動でもズレないしっかりとしたフォールド。下半分にはフレームの無いハーフリムタイプの方がベターとなります。理由としてトレランでは足元へ集中するシーンが多く、その視線の邪魔にならい。また、汗がフレームに溜まらずに落ちてくれると言うメリットがあります。

『レンズ』

素材としては軽く割れないレンズとして、ポリカーボネートまたはNXTという素材がスポーツサングラスの基本です。
レンズカラーはスピードもある状況なので、コントラストを高める視認性の良いもの。夜間にも対応できるように、クリアーレンズに交換できるものか、色の変わる調光レンズが良い。中でもクリアから色の変わるの調光レンズであれば、一日中使用できます。調光レンズも種類は多いですが、ピンク調光と言うトレランにピッタリなレンズが有ります。
※日本では暗い樹林帯も多いので、あまり透過率の低い濃いレンズカラーはこのスタイルには適しません。

<b.一般登山(無雪エリア)>

『フレーム構造(春夏秋)』

激しい動きの少ない3シーズンの一般登山では、最初に挙げた、全てに共通する必要条件2つを満たしていれば、ある程度自分の好みを優先して選んでいけます。当然ですが品質の良いものを選びましょう。重すぎたり、破損しやすい素材・構造ではなく、しっかりしたメーカーを選ぶべきです。
ヘルメットを使用する登山の場合は、ヘルメット、耳、テンプル(つる)の相性がありますので、サングラスのテンプルが長すぎたり、特殊構造、太すぎるものなどは避けた方が良いでしょう。

『レンズ(春夏秋)』

安全性を考慮しレンズ素材は割れにくいポリカーボネートまたはNXTがおすすめ。
最もおススメは調光レンズですが、照返しの光線を抑える偏光機能が付いたものも良い。レンズカラーは本人の好みにも影響されます。コントラストを高め視認性の高いレンズが良いのか、もっと自然の色に見えるカラーが良いのか。実際にかけてみて判断してみましょう。一般的にグレー系のレンズカラーは対象物が自然に見えるレンズカラーです。無雪期の低山であれば、極端に濃い色のレンズは必要ありませんが、日本人でも、眼が光に弱い人もいます。夏でも光を遮るものの無い3,000mの稜線ではかなりの強い光線を感じます。その場合は少し濃い目のレンズでも良いと思います。山の晴天時は非常に明かるいのです。やはりここでも色の変わる調光レンズが汎用性が一番高いです。クリアから色の変わる調光レンズがあれば万全です。自然な風景を楽しみたい方はクリアーグレー調光と言われるグレー系に変わる調光レンズがお勧めです。

<c.雪山登山(雪山~春の残雪エリア)>

『フレーム構造(冬)』

低温になるため、フレーム全体にメタル(ステンレスなど)が露出しているものはあまり適しません。カバーが付いていれば問題なし。
サングラスには少ないのですが、メガネなどで時々あるフレームが細く柔らか過ぎるものは、冬山には向かない様に私の経験上思えます。理由として、厚みのあるグローブを付けていることが多いので、あまり細かったり柔らかいと、扱い難いのです。

『レンズ(冬)』

ここでは雪山を想定して考えます。レンズカラーは3シーズンなどで使用する物よりも、濃い目の物をお勧めします。晴天時であれば、普段使用すことの少ない透過率5~13%と言った濃さのレンズでも調度よく感じるほどです。晴天時の雪斜面の光線は半端な強さではありません。日本人は光に対して眼が強いので、薄い色のレンズでもあまりに気にしない人もいます。ただ知らぬうちに、疲労がたまり頭痛を引き起こしたり、体の疲れにも影響してきます。もちろんサングラスを一切しなければ、最悪の雪目となってしまうのです。雪山でも色の変わる調光レンズはとても便利です。他のレンズよりも圧倒的に使えるシーンが多くなります。ただ、一点気をつけたいのは、低温で紫外線の強い雪山には、向かない調光レンズもあります。調光レンズを雪山で使うのであれば、詳しい販売店で相談しましょう。(理由:調光レンズによっては色が濃くなりすぎて見えにくくなる場合があります)雪山を幅広くカバーしたいのであれば、ピンク調光が最もおススメです。記事の後半で紹介しています。

<d.高所登山・海外など(積雪エリア)>

一番特殊なシーンとも言える高所登山。基本的には海外の4,000mを超える山からヒマラヤなど8,000m級の山が想定となり、季節を問わず雪が積もっている状況がほとんどと考えることができます。

『フレーム構造』

低温になるため、フレーム全体にメタル(ステンレスなど)が露出しているものは適しません。登山用に作られている物であれば良いですが、一般的なメタルフレームサングラスはNG。
より過酷なシーンが前提となるため、軽量化だけを求めず、フレーム構造もしっかりした作りの物の方が安心できます。高所ではグローブを付けている事がほとんどなので、グローブでも扱いやすい物がお勧めです。
基本的にはc.の雪山登山(雪山~春の残雪エリア)で説明した機能と類似しますが、よりその機能性に特化したものが必要となります。共通機能である「風・砂・ほこりと紫外線が入り込まない様に、すき間が空かない構造になっている。」に関してもより、確実にその機能を発揮できるタイプが良いでしょう。専用デザインのモノが発売されています。
高所登山でも、ヘルメットの使用頻度は高いため、ヘルメット、耳、テンプル(つる)の相性にも気を付け、サングラスのテンプルが長すぎたり、特殊構造、太すぎるものなどは避けた方が良いでしょう。

『レンズ』

高所登山用のレンズは、専用の特殊なものを使用する事をお勧めします。透過率で言えば10%以下となってきます。Monte-Paz Productsで扱うCEBEの高所登山用レンズは全て透過率5~8%(カテゴリー:4)という非常に濃いレンズを使用しています。紫外線の強さを示す「UVインデックス(紫外線の強さ)」は標高が1000m高くなると約10%増加するとされています。この事実を考えると、海外の高峰では、日本では体験しないような、強烈な紫外線と光に曝されているわけです。高所登山用レンズには、紫外線だけでなく、赤外線もカットして眼の疲労を抑える機能がある物もあります。日常生活レベルでの赤外線は問題となりませんが、超高所では熱線となり眼を疲労させるのです。また、レンズの裏面にもARコート(Anti Reflective Coat)と言って、反射防止コートが施されたレンズを使用したサングラスもあります。それにより、顔とフレームの隙間からレンズの裏側に入り込む光の反射も抑え、快適な視界を確保してくれます。高所の強烈な日差しと雪面からの照返しがある場面で、その効果はより発揮されます。
レンズ素材は他の登山スタイル同様にポリカーボネート、NXTが基本的におすすめですが、高所登山用の特殊な強化ガラスを使用したものも使えます。
※高所登山を目的とする場合はサングラスに対する知識豊富な販売店で購入されることをお勧めします。

 

3:登山用としてオールマイティーなレンズを選ぶのなら

レンズには様々なタイプのモノがあります。上で紹介したように状況に応じて適したレンズは異なるため、全てをカバーするモノはありません。ただ、そのうえで登山で使うオールマイティーなレンズをどうしても選びたいという方のために、私の経験からベストチョイスをご紹介させて頂きます。

『調光レンズ』の汎用性が最も高い!

登山は通常のスポーツよりも行動時間が長く、日照状況の変化も激しい環境です。晴天かと思えば、ガスったり、雨が降ったりと同じ1日の中でも目まぐるしく変わる環境。それに一番対応できるものとしてはやはり夜間から日中まで対応できるクリアー調光レンズがお勧めです。
※調光レンズ全てが夜まで対応できるわけではありません。選ぶ際は注意してください。

調光レンズどんなレンズなのか?

紫外線の無い夜や屋内ではクリアの状態で、野外に出て紫外線を受け始めるとレンズカラーが濃く変化します。そして晴天の日中や雪上など紫外線が強い環境になると、よりレンズカラーが濃く変化してくれる優れものです!逆に日中でも光の弱い樹林帯などではレンズカラーが薄くなり、明るい視界をキープしてくれるのです。

なぜ『クリアー調光レンズ』がおススメなの?

夜~日中~屋内と、ずっと掛けていられる!そのメリットとは。

1:色の違う交換レンズを持って行く必要がありません。軽量化にも役立ちます!

2:常に目の保護をしてくれる!
サングラスには紫外線などから目を守るだけでなく、枝・風・ほこり・砂・雪 などから眼を保護する重要な役割もあるため、ずっと掛けていることが重要なのです。光の少ない夕方であろうと夜であろうと目を保護する役割が求められるのが本来のサングラスの使命です。

3:紛失の可能性も減らせます!
ずっと掛けていられるのでサングラスを外す機会が減り、置き忘れたり、紛失する可能性を減らすことが出来ます。

では、どんな『クリアー調光』レンズを選ぶと良いのか?

クリアー調光レンズにも色によって特徴が異なります。
レンズカラーの変化前と変化後の色の特徴を確認したうえで選択をお勧めします。
注意したいのが、メーカーによってはレンズカラーの反応が悪い物や、色が濃くなった場合にコントラストが落ちて対象物が見にくいレンズがあります。

私の使用経験と実際にフィールドで使用されているユーザー、さらにサポートする山岳ガイドからの貴重な意見をもとに、登山シーンに最適なクリアー調光レンズをご紹介します。

※他にもクリアー調光のレンズはありますが、安心感のあるモノとして私の使用経験があるレンズの中から限定して選びました。

登山シーンをほとんどカバーするベストセレクトの調光レンズはこの2色だ!!

≪1≫ NXTクリアーグレー調光(SkyClear調光) オールマイティな1本

素材:NXT
透過率:80%~18%
(平地数値のため紫外線の強い山岳エリアではこの表記の通りではありません)

・レンズ変化前:室内・夜間など紫外線を受けていない状況

夜間運転も使用できるクリアー状態でわずかに薄いグレーの色となります。どんなフレームのサングラスにも馴染みが良いメリットがあります。

・レンズ変化後:野外で紫外線を受けた後

グレーに変化します。見え方としてはスッキリとした見え方で自然な色調です。レンズカラー濃くなってもコントラストが下がらないので、見ている本人は対象物を自然に見ることができます。サングラスに慣れていない人も抵抗なく馴染めるレンズカラーです。

■調光前のレンズカラー(夜間・室内など)■調光後のレンズカラー(日中の野外)
・メリットとおススメシーン

何といっても自然な見え方がこのレンズの魅力です。ほぼクリアからグレーに変化するのでどんな人でも馴染みやすいレンズカラーです。山の風景を自然に楽しみたい人には迷わずこのレンズがおススメ。色の変化も自然に変わり、使っている本人はその変化も気になりません。
オールシーズン使えますが、特に春夏秋に最適なレンズです。

・デメリットや弱点

調光レンズは紫外線の量に応じてレンズカラーの濃度が自然に変わります。
ただ気温が低く紫外線の強い雪山では、曇りや天候が悪くてもレンズカラーが薄く戻り難くなります。濃いグレーの状態が続くため、悪天候時は視界が暗くて見にくくなる場面が発生します。

≪2≫ NXT HCD PLUS Varia(ピンク調光) 雪山におススメ!!

素材:NXT
透過率:75%~36%
(平地数値のため紫外線の強い山岳エリアではこの表記の通りではありません)

・レンズ変化前:室内・夜間など紫外線を受けていない状況

夜間運転も使用できる透過率で薄いピンクの色がベースとなります。薄いレンズカラーの状態でもコントラストを少し高め、視認性を高める効果があります。

・レンズ変化後:野外で紫外線を受けた後

濃いピンクレッドに変化します。雪山の様に低温で紫外線が強いシーンでは平地よりも濃いレッドになります。

■調光前のレンズカラー(夜間・室内など)■調光後のレンズカラー(日中の野外)
・メリットとおススメシーン

このレンズカラーは他のレンズカラーと違い視認性を高める機能があり、上記のクリアーグレー調光よりもさらにコントラストを高めて視認性を上げる機能に優れています。曇りや雨など悪天時でも明るく感じ、対象物をハッキリと捉えることが可能です。雪山での悪天候時・降雪時・ホワイトアウトではこの調光レンズがダントツにおススメとなります。雪山でも90%以上のシーンで使えるレンズです。雪山を中心に使いたい人にはこの調光レンズがおススメです。
写真下)悪天候時でもしっかりと視界をキープして雪面の状況を把握できます。

・デメリットや弱点

サングラスとしてのデメリットではないのですが、色味が変わってしまうので、自然な景色とは異なってしまいます。
眩しさに極端に弱い人は、春先の富士山でドピーカンな晴天時などに少し眩しいと感じる人もいるかもしれません。眩しさ軽減と言う意味ではグレー系の方が有効となります。
写真下)コントラストを高めるメリットがある反面、色味が変わります。

おススメのレンズ素材 NXT

NXT素材を私は愛用しています。理由としては破損に対して、現存するレンズの中では最も強度があるためです。さらにポリカーボネートと比較して光学的にも優れ、ひずみが無い事も大きな理由です。ある山岳ガイドの方も以前使用していたレンズに違和感をもっていたのが、NXTに変更してからは見え方が自然になり疲労が軽減したと言われています。

あとは化学薬品などにも耐性があり、経年劣化にとても強い事です。一般的なスポーツ用レンズであるポリカーボネートは年月と共に劣化が進み、欠けたり表面がボロボロになる事があります。

調光レンズの注意点&その他特徴

  • 32℃を超える様な真夏日には色の変化が弱くなります
    涼しい山ではほとんど問題ないのですが、平地での真夏日には色が濃くなり難い特徴があります。「いつもはもっと濃くなるのにな?」と思われた時は真夏日の場合があります。
  • 気温が低い真冬は色の戻りが遅い
    氷点下の真冬には一度濃く変化したレンズが薄くなるまでに通常よりも時間がかかります。例えば山小屋など紫外線のない屋内に入った場合、真冬は色が抜けにくくなります。
  • 光の感じ方は個人差があります
    同じ環境でも眩しく感じる人もいれば平気な人もいます。個人差がある点は気をつけて下さい。また海外の6,000mを越えるような特殊な環境では紹介した調光レンズでは濃度が不足と感じる人も多くなります。
  • 調光機能は永遠ではありません
    便利な調光機能ですが永遠にその機能があるわけではありません。紫外線を受ける使用頻度にもよりますが、数年間使用している場合、色の変化の幅が少しづつ減少します。ただ紫外線など有害な光をカットする機能には影響ありません。あくまで色の変化率が少し変わると言う事です。

NXTレンズ製の『クリアーグレー調光』・『HCD PLUS Varia(ピンク調光)』を実際使ってみたい人へ

このレンズカラーを使ってみたい人は下記の2通りから選択可能です。

■当社で取り扱うイタリアのブランド『rh+(アールエイチプラス)』がNXTレンズを使用したこの2種類のレンズカラーを搭載しています。掛け心地も軽くてアウトドアユーザーからも長く支持を頂いているブランドです。
ご興味ある方はコチラからご確認下さい ➡ rh+公式サイト(度付きサングラスも対応)

■またお使いのサングラスのレンズをこのレンズカラーに変更したり、度付きで製作することも可能です。
もしご希望であればコチラのお問合せ先からご連絡下さい ➡ お問い合わせ先

つづく
2024/2/13更新